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zoom RSS NOTボーナストラック(9) Aの魔法陣ver3ファンタジー

<<   作成日時 : 2006/01/18 00:20   >>

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 海美の家は、すぐ近くである。
ようやく着替えた、というよりも服を着た”いじわるめがね”と並び、海美は街路を歩いている。
家が近いのが、嫌だった。

 そんな二人を、後ろから冷静に観察している坂東陸。足音は、ない。

段々”いじわるめがね”との距離が開いていく。
顔を真っ赤にした後、全開で”いじわるめがね”の手を握って引き戻す海美。

「な、なんでそんなに急ぐんだよ!」
 手を引かれたまま、”いじわるめがね”は振り返った。瞬間だけ。
「お前が遅すぎるんだ」
そう言ってまた歩き始める。ひどいいじめだと思う、海美。大股になって並んだ。
「お前が速すぎるんだ」

 少しも速度を下げようとしない”いじわるめがね”いじわる。いじわる。
「体育の成績、いいだろ」
「体育は体育……」

 こっちぐらい見ろと思う海美。さっきまで優しかったのに、腹が立つと思った後、落ち込んだ。
どんなにやっても、どんな風に思っても、振り向くことも、歩く速度を緩めることも、しない”いじわるめがね”。自分がどうでもいい奴だと、思ってしまう。私は私が大切なのに、”いじわるめがね”は、そうじゃない。

私は、やっぱり……駄目なのかなぁ駄目なのかなぁ。と思った。
唇を噛んで、3秒考え、走りよって”いじわるめがね”を背中から殴ろうとする。
避けられる海美。

「いじわる!」
「逆だろ。ほら、お前の家だ」
「あ……」

 玄関の明かりに照らされて、涙でそうになる海美。こんな別れ方、したくなかった。せめて手を振るとか、バイバイと言うとか。明日も逢えるけど、でも。

 何も言えなかった。

”いじわるめがね”は、本当にいじわるだ。
幼馴染で同級生で女の子。今日は一番可愛くしてみた。それでもまだ足りないのか。どれだけ足りないのか。それとも全然、可愛くない?

 唇を噛んだところで、ふわりと坂東陸が顔を出した。
あわてて笑顔を思い出そうとする海美。

「そ、そうかバンちゃんもいたよね。”いじわるめがね”についていかなくていいの?」
「私は一人でも大丈夫だから……うみちゃん」

 暗いから泣きそうな顔は見られないだろうと思いながら、海美はあわてた。
「な、なに?」
自分の声がヘンだった。上ずってる。

 陸は、どこか冷たく、それでいて優しい。一歩離れて、まっすぐ言った。
「矢神くんのこと、好きなんだ」

海美の顔が、爆発した。

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