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zoom RSS 12日目 浮上失敗

<<   作成日時 : 2005/12/15 18:47   >>

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 ヤガミは見ているだけである。
皆が忙しく切り離しと浮遊準備を進める中、ヤガミだけが、役目を与えられていなかった。

それで、隅っこで座っている。服は、まだない。
眼鏡があっただけ、まだマシだと思う。これがなかったら、ヤガミは思う。
自分が逢いたい女の表情が、良く見えない。コンピューターに繋がれたMPKの首が、揺れている。

あれから3年、すでに舞踏子の介入限界を超えているのは知っているが、ヤガミは心の全力で、それを認めていない。歯を食いしばる。

子供の体は貧弱で、ヤガミはさらに腹を立てる。同じ境遇のニャンコポンは、気にしていないようだった。見上げれば目の前で腕を組み、偉そうに立っている。

「絶望するのはおよしなさい」
「復讐する方法を考えているだけだ」
 淡々と口を開くヤガミ。

「……誰に?」
「気に食わない自分にだ」

 鼻で笑い、背を向けるニャンコポン。背骨が浮いているのが見えて、ヤガミは目を逸らす。

イカナは自分の体長より大きく口を広げ、内側から外壁を食べている。
今や薄く広がり20mほどの大きさ。 目だけが広がらずにあちこちを見ていた。

 いじめっこー、べーだと舌を見せている舞踏子の姿を心に思い描き、ヤガミは強烈な嫌味を言って背を向ける。
かつての上司を呪う。こうやれば、どんな女も追いかけてくるんじゃなかったのか。

腹を立てる。だいたい俺の初恋が舞踏子というのが気に食わない。
もっと俺が経験を積んでいたら、もっと別のことも言えただろうか。

「切り離し、オゲェ」
 部屋を包み込むように大きくひろがったイカナが皮膜を震わせて言う。
ヤガミを見て、生きる屍だと軽蔑し、指揮をとることを決めたニャンコポン。

「開始。BALLSに自爆信号」

 小さな振動。同時にバラストタンクブロー。
動かない。 タンクが壊れているのか、上に何かがのっているのか。
グランパかミズキが居れば。いや、ポイポイダーでもいい。

 ニャンコポンは死者を悼むと、再度のタンクブローを命じた。

 船体は、浮き上がらなかった。

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