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zoom RSS 10日目・昼2 あたらしい伝説のはじまり

<<   作成日時 : 2005/12/13 12:35   >>

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 萌は、救護所の隣、仮説整備テントに据え置かれている瀧川機の無線をずっと聞いていた。

 包帯を巻く手が震える。吐きそうになる。お腹が痛い。
血が盛大に噴出す音。雑音で聞こえなくなる短距離無線。

 白衣の萌は、涙をこらえ、でも涙を落とし、次に新井木に蹴られた背中を唐突に思い出した。

 小さな救急かばんをもって、救護所を出る、白帽とスカート姿のまま走り出した。


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一方その頃。2000年12月18日。アメリカ・カルフォルニア。

 目にも鮮やかな黄色いジャンパーを一人の老人が着ている。
背筋は伸びて、それは最後の瞬間まで、それであるつもりのようだった。

 傍らに”我が永遠のヒロイン号”と大書されたボディをコツコツとキャップをつけた万年筆で叩きながら、歩く。足をとめる。人がいた。今も働く、何人もの人が。

「リヒーターの調子は?」
「微調整中ですが、やってみせすよ。ここまで来たんだ。絶対にやってみせます」
 老人が話しかけた先の一人の若者が言った。ずっと黙って、海法の手伝いをしていた男だった。髪の毛の先行きが心配になりそうな。そんな若造だった。

「わしの名を継いでみんか」

 一人の若者は手をとめた。顔をあげる。
「はい?」
「わしの名を継いでみんか」

 老人は静かに言った。長い時が雪のようにその肩に積もっていたが、だからと言って老人は、それを気にするようではなかった。
「この名前は、少年達の夢を紡いできた。だがそれも、もうすぐ終わる。わしが死ぬから」
 老人、海法紀光は特殊塗料が塗られた純白の機体を見上げた。
昔少年で、科学が人を幸せに出来るかも知れないと思う大人と老人たちが作り上げた、一つの答え。だが老人は思うのだ。答えは決して一つではないと。いくつあってもいいのだと。

「だが物語は、終わらない。だってそうだろう。少年は今もいる」

老人は月詠み銀の万年筆をくるくる回した。
ペンをとめて、若者に差し出す。

「誰かがやらなければいかんのだ。どんな弾幕もものともせずに、陳腐でどうしようもなく儲かりはしないが、世界に必要なその仕事を」

老人の瞳は、青かった。この星の、地球の色だった。

「どんな剣より強いこれを取れ。新しい伝説」

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