3日目・朝 絢爛舞踏祭ルート コースA

 カール・ヨウヘイ・ドラケンは生きる屍である。
人生でもっとも幸せだった2年と半年の後、彼は恋人も、艦の家族も、家である艦も、失った。

何故あの時、死ななかったのか、彼はそればかりを考えている。

RBに乗っていなかったら。
あるいは出撃が、少し遅れていたら。
あるいは補給に出ていたら。

 彼は急速に日の落ちる艀の上を歩きながら考える。
そうだったら、どれだけ良かったかと。



 それからの時を。
彼はこの波のない海とともに生活をしている。

 今は。

ともに生き残ってしまった士翼号。
それを相棒にしてサルベージ業をしながら生きている。


 稼ぎのほとんどを遺品回収に使い、拾い上げたガラクタを、今は自室の棚の上に並べている。そうして時折それらを手にとって、彼は巌のように動きをとめるのだった。


 その日、彼は艦長室にかけられていたネームプレートを、大事そうに手に取っていた。
流麗な文字でエリザベスとある。

そう。巌は少しだけ微笑む。

 豪胆な言動といささか抑制のたりないその姿はさておき、彼女の描く文字は非常に美しく、彼としては、そこだけミスマッチだなと首を捻っていたものだった。実は彼女が艦隊一の美人だったと聞かされたのは、随分後のことだった……。

 一人知り合いが来て、また一人だけになったその日。
カールはその日、やけに懐かしい夢を見た。願っても願っても見ることが出来なかった夢。
出来ればずっと見ていたい、そんな夢だった。

 ただ朝起きて、何をするでもなくエレベータホールのソファに座り、たまに挨拶する。
座る時間は1時間。それ以上長くなると、すぐに舞踏子が心配そうに寄ってくるのだ。

そう。


その日はそれを待っていた。座ったまま、飛行隊伝統のボディランゲージ。貴艦に着陸したい、よろしいか。

彼はそこで、目が覚めた。

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