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zoom RSS 9日目・深夜 絢爛舞踏祭ルート ボーナストラック1 Aコース

<<   作成日時 : 2005/12/12 01:22   >>

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 ヤガミは、ひどくゆっくりした悪夢を見ていた。

あの一番気に食わないドランジが舞踏子と食事をしている夢だった。

 舞踏子が笑って、ドランジが笑ったので、ヤガミはドランジを反乱かなにかの名目で消せばよかったと考える。

大体、あの女もあの女だ。
自分の時はあんな笑顔を浮かべたことがあったろうか。いやない。

 今日もシルチスで虐殺が起きている。腹が立つ。腹が立つ。
義体のいいところは胃が痛まないことだ。 昔はひどいものだった。上司は最悪の性格で、すぐに僕をはめてくる。なんで普通の書類仕事の中に罠が入っているんだ。バカじゃないのか。

 ヤガミは夢の中で眼鏡を指で押して表情を消す。
呼び出した記憶がやっと再生されだした。ひどいタイムラグだ。
今度機械脳をメンテナンスする必要がある。CPUは早いのが一番だ。メモリが多ければなおいい。

ドランジに向けて浮かべた笑顔をAとして、自分に向けられた笑顔を並べて表示、比較していく。ほら、どいつもこいつも、この女は僕にはああいう笑いを見せてない。腹が立つ。

動きが止まったのは、二人きりで夜の甲板に立ったとき、僕は星だと言ったときに舞踏子が見せた爆笑だった。

 腹が立つ、腹が立つ。

 いや、これは悪いのはあの上司だ。やつめ。最後まで僕を罠にはめた。
花か星の話をすればどんな女も一撃だと? 呪ってやる。呪ってる……

ようやく最後まで舞踏子の笑顔が再生される。
 最後に出てきた画像は最初にヤガミと逢ったとき、いきなり抱きついてきたときの涙と笑顔。

 ヤガミはフンと鼻を鳴らした。

まあ、この笑顔なら、ドランジよりも上だな。MAKI。暗殺は中止だ。

/*/

 ヤガミの目が、うっすらと開く。

最初に見た顔がイカナだったので、ヤガミは目を閉じる。


イカナは口を開いた。奥の方の本当の口がわしゃわしゃと動き出す。
「オメ、何でまた寝る」

「うるさい……」
「起きる時は舞踏子の顔でないとダメ。クスクスなこと」
「黙れ……」

 横になったまま背を向けるヤガミ。
しばらく考える。

飛び起きる。

「今はいつだ。イカナ」
「不明」

 ヤガミは頭を抱える。なんということだ。なんということ。

「夜明けの船はシールドアタックを食らって沈んだ。そうだな」
「そう。ワレ、死んだ。オメ、壊れた。シブースト」

 周囲の気密は破られてないが酸素はもうない。ヤガミは苦々しく思った後、死者に祈った。20秒きっかり。

「お前はどうやって」
「足、一本残った。そこから再生した」

「便利だな。なに食べて戻ったんだ。ああ、いや、言わなくていい。ほかに生き残りは?」

 頭だけのMPKを持ち上げて踊るイカナ。
「ギ・ギ。ミー、半分生き残っている」
「他は?」

 ヤガミの隣で、小さな手があがった。全裸の少女。猫耳だけしている。

「ニャッチ、昨日目が覚めた」
「……ニャンコポン……か」
「そうね。全部機械化してたのが幸いだったわ」

 ニャンコポンはかわいい子供とは思えない苦い顔。近くの椅子を蹴っ飛ばした。

「息子が死んだわ。あの子はいい出来だったのに」

 ヤガミはそれを、自分への非難だと考えた。その通りだ。その通り。
聞くのが恐くて一番後回しにしていたことを尋ねる。
「舞踏子は?」
「イナイ」

 今度はヤガミが椅子を蹴っ飛ばす番だった。

自分の手がひどく短いことに気づく。

「おい、イカナ」
「義体の材料、足りない。だから1機分で2個つくった」

ヤガミ、イカナの巨大な目を鏡代わりにして自分を見る。


 その姿は、10歳ほどだった。
頭の片隅で、舞踏子が爆笑した。


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