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zoom RSS 8日目・昼3 精霊機導弾ルート Fコース

<<   作成日時 : 2005/12/11 14:01   >>

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 茂みを揺らし、善行とカンナの前に現れたのは、小さな幻獣が2匹だった。
ため息を一つついて、射殺しようとする善行に、カンナは抱きついて離れない。

 下を見る善行。
「どうしたんですか」

 上を見るカンナ。
「かわいそうです」

 善行はカンナを殴るか、手荒くどかそうか考えたが、結局どちらもしなかった。
カンナの揺れる瞳を見て、善行は己が人の形をした猫であることを思い出したのである。

 猫は、カンナのような子が好きだった。絶対勝てないと分かっていても、竜と戦いをはじめるほどに。

善行の表情をどう思ったか、カンナの瞳がうるんだ。
「上級万翼長……」

 善行は親しい人でなければ浮かべていることが分からない笑顔を浮かべた。
口を開いた。
「個人的なお願いをするときは、階級ではなく忠孝といいなさい」

 顔を赤らめるカンナ。
「た、ただたかさん……お、おねがいします。ただたかさん……」

善行は指で眼鏡を押すと、その頭を軽く叩いた。

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震える小さな幻獣が2匹。

銃を片手で構えながら、少し銃口を横に傾けた善行。抱きついているカンナ。

距離5m。

 その間に横からさらに細身の幻獣が現れて、小型幻獣をかばうように前に立った。両手を広げている。
善行の眼鏡の奥の目が細められる。
一気に難しい情勢になった。ここまで敵の追撃が来ているとは思わなかった。

2、3歩下がる幻獣。小さい幻獣を抱きしめてしゃがみこみ、背を向けて震える。

 善行が表情を変える前の数瞬に、今度は味方の乱入があった。
思わず賛嘆の声をあげるほど美しい毛並みの雷電である。6mを超える動物兵器。

善行達をかばうように、そして音もなく前に出現し、牙を見せる。

「まて、クイーン」

 最後に出てきたのは、傲岸不遜の表情をはりつけた、金に髪を染めた太った男だった。
悠然とクイーン、クイーンオブハートの後を歩いてきている。

「ご無事ですか。善行中隊長」
善行には見覚えのある顔だった。
「芝村……くんか」
「それではどの芝村か分かりますまい。英吏で結構。貴方の忠実な部下です」

善行はその言い方が気に食わない。
「忠実なら敵を殺してもいいはずだが」

「貴方が、迷っておられるようだったので」
「ずっと見ていたのか」
「影ながらお守りしていました」
 どこまで本当なのか。あるいはそうでないのか。それともこいつは嫌味豚か、善行の内心を見透かすかのように、英吏は歌うように口を開いた。

この男、姿はさておき声は美しい。
「必要でしたら、今すぐ排除しますが?」

 善行は考える。ここで排除しないと言えば、僕はこの男に、敵をわざと見逃す、つまり敵に通じているかもしれないという”証拠”を残すことになる。

口を開こうとする善行のズボンを、カンナがぎゅっと握った。
善行はそのまま口を開く。

「いや、殺さないでいい、敵は小物だ。戦うまでもない」

 英吏は、面白そう。
「敵が援軍を呼ぶ可能性があります」

 善行は生き残る方法を考える。
「たかが幻獣にそんな知恵があるとは思えませんね。捨て置きなさい」
「なるほど。ではそうしましょう」
 英吏は深くうなずいた。

「隊長は無能なふりがうまい。ではこちらにどうぞ」
「いきますよ。カンナさん」
「は、はい。ただたかさん」

 善行はこの時、一生に一度の盛大な失敗をした。
変な風に物事を覚えてしまったカンナに注意を与えなかったのだった。
以降善行は、残る一生をカンナから忠孝さんと呼ばれることになる。

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 クイーンは善行たちについていったが、英吏は残った。


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