テンダイス

アクセスカウンタ

zoom RSS 7日目・深夜 ガンパレード・オーケストラ白ルート4 Dコース 

<<   作成日時 : 2005/12/10 01:21   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

 どんな少年でも、最初に見る夢は大きい。英語で言えばビッグである。
谷口竜馬もそうだった。ついでに言えば、谷口はなんでもかんでも大きければ大きいほどいい主義である。
同じ値段なら大きな量のジュースのほうがいいし、チョコならでかいチョコのほうがいい。軍艦で言えば駆逐艦より巡洋艦で、巡洋艦より戦艦である。戦艦よりも大和級なのであった。
当然、家に飾ってあるポスターも特大で、好きなスポーツ選手もみんな身体が大きい。
犬も買うなら小さいのよりも大きな犬が飼いたかった、いや今実家で飼っている柴犬(命名:大二郎)も滅茶苦茶かわいがるくらい大好きなのだが。

 そんな谷口の単純明快な人生観に大打撃を与えた事件は、その日の夕方に起きた。
彼が苦労して仕えていると主張する中隊長、石田咲良が空先生から絵本を借りて、一緒に家に帰るときのことである。

 谷口がすばらしいと言っていい速度で靴箱から靴を出して靴を履き、咲良に駆け寄ると、咲良は谷口の方を見ずに、苦労して手袋をつけていた。

 呆然として見ていると手袋をつけ終え、谷口を見て、瞬きする。
口を開いた。
「谷口、どうしたの?」
「いえ、なんでもありません。帰りましょう」
「うん」

 その日、谷口は生まれてはじめての、いいようのない喪失感を味わった。
いつもだったら手袋をつけるのは自分の役目だったのである。

そしてその時、気づいてしまったのだった。自分は、実はビッグででもなんでもないことに。

/*/

 40分後。谷口は、がっくり肩をおとして通学路を歩いて学校に戻っている。
谷口は、律儀に夕方になると石田を家まで送った後、学校に戻って書類仕事したりトレーニングしたりしていた。

 なぜこんな面倒なことを毎日やっているかというと、石田には体力がなく、すぐ寝ちゃう上に寝るときはどこでだって寝るし、このとき必ず誰か、もしくは何かに抱きついて寝るという悪癖があったためである。一度谷口は、そのせいで恥ずかしさで死に掛けたことがあった。しがみつく咲良をお姫様抱っこして全力で通学路を走ったのであった。

以来一部の生徒から、ああ、お姫様だっこの人と言われて、それから彼は裏門を使って出入りしている。


 話を、戻す。
谷口は、うなだれて歩いていた。足取りは重く、時々電信柱にぶつかってそのたびに、盛大な雪を頭からかぶっている。

 手袋をつけてやるとき感じていた小さな幸せと満足感が、逃げていったことがさびしく。
自分がそれぐらいで幸せを感じていたことにへこみ。
思い直せば俺は道に落ちていた10円を拾ってもうれしい性質だったと思い、それでうちひしがれていた。

 ありていに言えば俺はビッグではないと気づいてしまったのである。
夢と現実に大差あることに気づいてしまったのだった。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
7日目・深夜 ガンパレード・オーケストラ白ルート4 Dコース  テンダイス/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる