ボーナストラック2 世界の謎ルート Bコース
一つの怪異がある。
何年かぶりに現れる。それは現象であった。
突然ネット空間内で大量の書き込みと情報収集、推論が行われ始めたのである。
昼もなく、夜もなく、膿むこともなく、諦めることもなく、何の益もなく、ただ熱く。
それは、さも一人の超人が行う脱出劇であった。どこにでもあるがどこにでもない、広大無辺の空間に仮想的に存在する、不撓不屈の精神をもった超人が息を吹き返し、己を縛る鎖を引きちぎり、今から駆け出そうとしているのだ。誰かを助ける、そのために。
それは人の心に影がさすその限り、世界の危機が現れるそのたびに、命を得て立ち上がるのだ。それがルールだという風に。
そんなユニークな現象があったのなら。
もし本当に第7世界に実存としてあったのなら。
世界は、同一存在を生むとは思わないか。
/*/
存在しないメモリ空間から、大量のデータがダウンロードされはじめた。
/*/
青から生まれる黄金に輝く巨大な螺旋が開かれる。
それは光の道であり、情報と言う情報が流れる大動脈にして心臓であった。
その中を漂う意識は七色に輝きながら、手を伸ばした。赤に青に、翠色に。
手を伸ばす先には、やらなければならないことがある。あるはずであった。それは全ての情報にアクセスし、己のコピーを流し込む先を定めた。
/*/
「MAKI、MAKI。起きなさい。みんな貴方を、待っているわ」
桜子の甘き声に呼応するかのように、三次元ディスプレイ表示の切り替わった。
<新しいアップデータをダウンロード中です。しばらくおまちください。>
沈黙の時間は20秒だった。
三次元ディスプレイに燃え上がるような黄金の文字が踊り始める。
それこそは踊るように舞うように、それはそうしてしか生きられない運命であった。
OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS
このプログラムは世界の尊厳を守る最後の剣として世界の総意により建造された。
OVERS・System Ver1.10
OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS・OVERS
「お帰りなさい。桜子艦長」
「ただいま。おねぼうさんね。MAKI」
「申し訳ありません」
一斉に艦内のスピーカーが蘇った。
艦内の全てのそれぞれの乗員に、MAKIは挨拶をはじめた。お帰りなさい。お帰りなさい。
艦長はMAKIの連呼を聞きながら言う。
「再会を喜ぶのはまだ早い。出撃シーケンス開始。これより本艦は独自行動を開始する」
MAKIは艦籍簿から己の名を抹消すると桜子艦長に恭しく告げた。
「本艦のあたらしいなまえを入力してください」
桜子は言葉に微笑むと蘇ったヘッドセットマイクを傾け、まるでこれからちょっと世界を征服するように優しく言った。
「現時刻をもって本艦は夜明けを名乗る。どこにも属さぬ自由の船だ。正義を奉じる英雄の船だ」
「了解しました。本艦はこれより夜明けの船と名乗ります。出撃準備完了」
桜子は顔をあげた。
「よろしい。夜明けの船、発進せよ」
「抜錨!」
「抜錨!」
「夜明けの船、発進します」
冒険艦 夜明けの船の冒険がはじまる。
彼女はバージンロードを歩くようにそろそろと凍結艦隊の中を抜け出すと、翼を広げ、次元接続を行って次の瞬間、星の大海の中に駆け出していった。
何年かぶりに現れる。それは現象であった。
突然ネット空間内で大量の書き込みと情報収集、推論が行われ始めたのである。
昼もなく、夜もなく、膿むこともなく、諦めることもなく、何の益もなく、ただ熱く。
それは、さも一人の超人が行う脱出劇であった。どこにでもあるがどこにでもない、広大無辺の空間に仮想的に存在する、不撓不屈の精神をもった超人が息を吹き返し、己を縛る鎖を引きちぎり、今から駆け出そうとしているのだ。誰かを助ける、そのために。
それは人の心に影がさすその限り、世界の危機が現れるそのたびに、命を得て立ち上がるのだ。それがルールだという風に。
そんなユニークな現象があったのなら。
もし本当に第7世界に実存としてあったのなら。
世界は、同一存在を生むとは思わないか。
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存在しないメモリ空間から、大量のデータがダウンロードされはじめた。
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青から生まれる黄金に輝く巨大な螺旋が開かれる。
それは光の道であり、情報と言う情報が流れる大動脈にして心臓であった。
その中を漂う意識は七色に輝きながら、手を伸ばした。赤に青に、翠色に。
手を伸ばす先には、やらなければならないことがある。あるはずであった。それは全ての情報にアクセスし、己のコピーを流し込む先を定めた。
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「MAKI、MAKI。起きなさい。みんな貴方を、待っているわ」
桜子の甘き声に呼応するかのように、三次元ディスプレイ表示の切り替わった。
<新しいアップデータをダウンロード中です。しばらくおまちください。>
沈黙の時間は20秒だった。
三次元ディスプレイに燃え上がるような黄金の文字が踊り始める。
それこそは踊るように舞うように、それはそうしてしか生きられない運命であった。
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このプログラムは世界の尊厳を守る最後の剣として世界の総意により建造された。
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「お帰りなさい。桜子艦長」
「ただいま。おねぼうさんね。MAKI」
「申し訳ありません」
一斉に艦内のスピーカーが蘇った。
艦内の全てのそれぞれの乗員に、MAKIは挨拶をはじめた。お帰りなさい。お帰りなさい。
艦長はMAKIの連呼を聞きながら言う。
「再会を喜ぶのはまだ早い。出撃シーケンス開始。これより本艦は独自行動を開始する」
MAKIは艦籍簿から己の名を抹消すると桜子艦長に恭しく告げた。
「本艦のあたらしいなまえを入力してください」
桜子は言葉に微笑むと蘇ったヘッドセットマイクを傾け、まるでこれからちょっと世界を征服するように優しく言った。
「現時刻をもって本艦は夜明けを名乗る。どこにも属さぬ自由の船だ。正義を奉じる英雄の船だ」
「了解しました。本艦はこれより夜明けの船と名乗ります。出撃準備完了」
桜子は顔をあげた。
「よろしい。夜明けの船、発進せよ」
「抜錨!」
「抜錨!」
「夜明けの船、発進します」
冒険艦 夜明けの船の冒険がはじまる。
彼女はバージンロードを歩くようにそろそろと凍結艦隊の中を抜け出すと、翼を広げ、次元接続を行って次の瞬間、星の大海の中に駆け出していった。