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zoom RSS 6日目・未明 ガンパレード・マーチルート Eコース

<<   作成日時 : 2005/12/09 01:15   >>

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 特別クラス、つまるところ学兵の集められた教室の唯一にして無二の教師である小島空は、保健室でプランターに入れた花を手入れしていた。ちょっと変な外見だが、眉目秀麗で通る男である。もっともこの人物、変人さでは谷口の友、岩崎に次ぎ、周囲に知らぬものとてない逸材である。


 保健室で土いじりとは非常識な話であるが、当人にとっては仕方ない事情がある。
折からの石油不足で、保健室と授業中の教室しか、ストーブが焚かれないのである。

 その横には窓際に無造作に背を預ける青い髪の少年。その目は鋭く、見抜かれただけで死にそうなくらい、恐ろしい感じだった。この少年は、心の中に鋭利な刃物を持っている。

液肥を与えながら、つぶやくようにしゃべる空に、青い髪の少年が、冷たいというには”暖かい”ほどの酷薄さで応酬している。

 石田咲良が入ってきたのは、その時だった。

「先生っ!」

 空と青い髪の少年は、同時に右方向に一回転した。首をかしげる咲良。

「おお、咲良、どうした」
 回転をとめ、ひどく時代のかかった言葉を言う空。

「だれ、この子は」
 これまた回転をとめ、今やぽややんな感じの青髪の少年はやさしく空に訪ねた。
青髪の少年を見る空。
「咲良か? ああ。今、預かっている子だ。いい子だぞ」

咲良は嬉しそうにうなずいた。実際嬉しい。
「私は石田咲良、最新最高最良の指揮官だ、覚えておけ」

 そう言った。

ふっ。とやさしく笑う少年。咲良は久しぶりに素直に言葉が通じたと喜び、相手が自分と同じ青髪なので、また喜んだ。
 少年は咲良を見て、にっこり。
「よろしく。石田さん。僕の名前は青。青の厚志だ」
「うん」

空は困った表情を浮かべて、咲良に声をかける。
「咲良。階級章はないが、彼は準竜師だ」

機械的反応で敬礼しそうになる咲良を、青の厚志は視線だけで氷付けにした。
視線を和らげ、咲良から手を下ろさせる。青の厚志は優しく言った。
「この身は既に舞のものだ。これ以上になんの称号もいらない。誰の賞賛も、必要ない」

聞きようによっては傲慢が過ぎる言葉である。それだけではのぞみにめーされそうだと思ったか、青の厚志はしゃがみこむようにして、どんな凍てついた人間の心も溶けるような笑顔で笑った。

「そうだ、石田さん、甘いもの好き?」
「先生、甘いものってなに」
「お菓子類のことだな」
 咲良は嬉しそうに笑おうとして、言葉遣いを考えた。
「お菓子は好きだ……好きです」
「好きだ、でいいよ。そうか。じゃあ僕の焼いたクッキー、あげる。はい」

小さな包みをもらう咲良。
次の瞬間、咲良は太い腕に引き寄せられていた。上を見ればひどく緊張した顔の谷口が見える。
 少しだけ目を細めて、それから嬉しそうに笑う青の厚志。
どういう早業か青の厚志は次の瞬間、咲良を引き寄せた谷口の背後に立っており、既にドアを出ていた。
「また来ます」
 言った言葉は、それだけである。
腕を組んで空は言った。
「ああ、いつでも来い」

青の厚志は、スキップして去っていく。実のところ彼はかなり不機嫌だったのだが、谷口が命がけで咲良を守る姿を見て、一転上機嫌になっていたのである。それで、救われた気になったのであった。親しい人に言う彼いわく、好きっていいよね。である。今度彼の家に泊まりに行こう、青の厚志はそう考えた。

一方、咲良を抱きしめたままの谷口は、へなへなと座り込んだ。咲良も尻餅をついた。元々、谷口を支える力などない。

「先生、なんですかありゃ」
「ああ、榊先生についてきたんだよ。しばらくここいいるそうだ」
 咲良、谷口の未だうぶ毛が逆立つ腕に腕をからめて前に後ろに上体を動かす。やったことはないけどブランコの気分。下を見る谷口。
「どうしたんですか。隊長」
「やることない」

 谷口は初めて、自分が力の加減をしてなかったせいで咲良が身動き出来ないことに気づいた。深呼吸して、腕の力を緩める。
「ああ、すみません。いや」
 谷口は自分を恥じた。なんであの時あの少年にああいう行動をしたか、もう自分でも分からない。

 谷口の腕が下がったせいで本格的に尻餅をついた咲良。面白くないのですぐ立ち上がった。
「谷口、何で引き寄せたの?」
ゆっくり立ち上がる谷口に言う。谷口が赤らめた顔の奥でうまい言い訳を考え付く前に、空が口を開いた。

「咲良、お前をとられると思ったのだ」
「先生!」
 咲良の反応よりはやく谷口は空に抗議した。というか速くしないと大変なことになる。
「いいですか、今回絶対はっきりいいますけど、隊長に変なことを教えないでください。絶対です。いいですか。絶対ですよ! それから危ない人には近づかないように口をすっぱくして言うべきです。これも絶対です」

空は半眼である。
「絶対ばっかりだな、お前」
「貴方が適当すぎるんです!」
「そうだ、何か用ではないのか?」
 空は至近距離に迫る谷口の顔から顔を背けて咲良に向けて言った。

思い出し、胸に両手をあてて嬉しそうに大きくうなずく咲良。

「先生、妖精の本を貸して!」

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