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「いよう、ドランジの大将。相変わらず宝探しかい?」 カールは驚いて腰を浮かせ、涙にぬれる顔をあげた。手の甲で、涙を拭いた。 そのまま立ち上がる。 カール・ドラケンの一生のうちで、ドランジと呼ばれていた期間は短い。 僅か2年と半年である。しかしカールは、その呼ばれ方こそを、もっとも大切にしていた。 声のする向こうから歩いてくる男は、カールに負けないほど大きく、力強かった。 上背はカールのほうが大きいが、横幅は相手のほうが、かなり大きい。 「鉄哲二、か」 「その通り。この白づくめに白いマフラーを忘れたとは言わせねえぞ。兄弟」 近づいてきた鉄は自らかぶる白い帽子をとると顔面岩と綽名された表情を破顔させ、ドランジを抱きしめて再会を祝った。 ドランジは一度天を見て、青空と、その向こうのワールドドームを見た。涙が、落ちないように。目を一度つぶって、そして口を開いた。 「娘さんは、元気か」 「ああ。今度逢いに来い。お前になら嫁にやってもいい」 カールはそこで、はじめて笑った。鉄の娘が幼いことを、カールは知っている。 「自分の顔は恐い」 そう答えるカールに、笑ってみせる鉄。 「俺のほうで見慣れているはずだ。気にするな」 カールは、いつまでも消えない祭の火を見たように、不器用に笑った。 自分は器用だと信じて疑っていないこの人物は、だが生き方は不器用そのものである。 「よくここだと分かったな」 そう言って、鉄が音もなく笑うのを見る。鉄は道すがら買ってきた、くそまずいが懐かしくて仕方がない、銀ビールを一本、カールに投げて寄越した。 口を開く。 「いくら地球化されたからって、水上生活者はまだ少ない。すぐわかるさ。それに俺は、きっと、お前がここに帰ってくると、思っていた。必要なら艀を浮かべて、水上生活者なってもな、なにせここには……」 遠くのカモメたちの声を聞いて、鉄は言った。 「夜明けの船が、眠っているからな」 |
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