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zoom RSS NOTボーナス ガンパレードオーケストラ白の章(8)

<<   作成日時 : 2005/12/29 15:31   >>

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 谷口は、腹を立てている。
自分が持っていった配給食がうまくないと、咲良に言われたせいだった。
確かにうまくはないと思う谷口。うまくはないが、あの反応はないだろうと、考える。

航の後ろに隠れ、口を尖らせて、そっぽを向かれたのである。

なんと大人気ない……!
いや、まて、こう怒るのも大人気ないのか。迷う谷口。しかし腹は立った。

とはいえ、配給食を補給することを前提で調整されているので他のものを食べた場合は性能に保障は出来ないと言われたことを思い出し、落ち着こうとする谷口。ああいう性格ではあるにせよ、あの人が不幸になるのは、その、避けたいところだ。

いや、それはそうとして、なぜこんなに腹を立てる。
そんなこと知るかと頭の中で怒鳴り散らす己の感情を押さえ込みつつ、谷口は考える。ちょっと考えれば出そうな答えだったが、あっかんべーしたり自分の顔を横にひっぱったりする咲良の顔を思い出して、考えるのをやめてしまった。これ以上考えて変な答えが出るのが、恐かったのだった。胃が痛い。

親友の一人、航のことも考えてみる。隊長はさておき奴には腹が立たない。それはそうだ。奴は情が深く、もとよりずっと、誰かを慈しみたいと思っていたふしがある。周りが俺やら横山やら岩崎だったから、その欲求がまったく発揮できずにいたのも、よく分かっていた。
 それでも手放さなかったのは俺たちのわがままだなと、思う谷口。
独占したいと思うほど、いい友人ではあった。別段なにがあるというわけでもないが、静かな奴の近くにいるのは居心地がいい。

そんな奴が、今、はじめて妹のようなもの? にしては性格が悪いような気がするが……を得て、全身全霊で可愛がっている様を見て、俺が腹を立てようものか。

 ええい、腹が立つ。

それどころか詫びねばならぬところだ。独占してすまんと。

 しかし腹が立つ。胃が痛い。いや、冷静に考えよう。あの人につきあって自分まで子供のように振舞うのは良くない。冷静な分析が必要だ。

口を尖らせるまではいいとしよう。
そっぽを向かれたまでもいいとしよう。

あれ、じゃあ俺は何に腹を立てているんだ。冷静に、冷静に。

腹が立つ。

格納庫の壁をぶっ叩く谷口。壁が震える。格納庫の中から、あわてて菅原と渡部が建物から飛び出して逃げていった。
勤務時間中に隠れて甘いものを食べていたらしい。

「そんなに甘いものが好きか!!」
叫ぶ谷口、隣で横山が、激しく驚いた。

ん?

横を見る谷口、手に持った板チョコをあわてて隠す横山亜美が居た。珍しく売店にあったので谷口と分けて食べようと思っていたのである。
顔を赤くしてよろめき、すまんと言う谷口。

「すまん、いや、お前達のことじゃない……悪かった。気づかなかった。自分は周囲が見えてなかった」
「い、いえ、いいんです。やっぱり勤務中ですから」
 肩を大きく落として自分をなさけないと思う谷口。
「自分の八つ当たりだ。気にするな」
「いいんです」
「食べればいいだろう」
「い、いえ、一人で食べても、おいしくないから」
 顔を赤くして頑なになった横山を見て、谷口は横山が腹を立てていると思った。
菅原あたりと食べる約束だったのかもしれない。だとしたら悪いことをした。

思えば、女子がこういうのを好きなのは当然かも知れないと谷口は思う。隊長もだ。
そう思えば、自分が間違っている気がしてくる。いや、だが配給食は食べてもらわなければいけない。

すまんと頭をさげて、ひどくしょげている谷口を見て、乙女心を激しく刺激され、やっぱり親友じゃ嫌だと思う亜美。

 格納庫前で二人並んでいると、遅れて吉田遥が帽子を深くかぶり、恐い、恐い……と泣きながら格納庫から出ていった。

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