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zoom RSS NOTボーナス (2) Aの魔法陣Ver3

<<   作成日時 : 2005/12/27 13:15   >>

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 自分がカバンを無くしているのに気づいたのは、家に帰ってもう嫌だとベッドに倒れこんで随分たってからのことだった。

細いせいでそう見える長い手足を抱いて、藤堂海美は丸まって考える。
”いじわるめがね”はいじわるだ。子分ぐらいなってもいいのに。そんなに私って魅力ない?

 思えば思い当たるところが多かったので、海美はもっと髪を伸ばそうと思った。
”いじわるめがね”の顔を思い出す。いいや、そんなことではあの子は動かない。でも、髪は伸ばそう。今日、私の髪に触っていたから、実は私の髪が好きなのかも知れない。

 ”いじわるめがね”はいじわるだ。同級生相手でも幼馴染相手でも、女の子相手でも、全部兼ねてる私相手でも、絶対に譲歩することがない。大人相手でも先生相手でもそれは同じだ。きっと宇宙人がやってきても同じ態度だろう。
 天上天下唯我独尊、誰にも媚びず、頼らず、退く事もなく、どんな条件のいい取引も拒否してみせる。取引が嫌いなのだった。お釣りあげるからと言ってもお遣いなんか絶対にやらない。でも頼みますと言うと、どんなに遠いところでも行ってやってのけた。
この違いが分るようになると、”いじわるめがね”の評価は高くなる。

 小学生の世界にも人物評価はある、”いじわるめがね”は評価が高い。わがままを言う奴とこすからい奴ならいくらでもいるが、筋を通して絶対に屈しない奴は数が少ない。進んで損を選ぶ子ならなおさらだ。その上多分死んでも主義を曲げないという点もあって、これらをうまく言葉に出来ない小学生でも、”いじわるめがね”を特別視し、誰もが一目置いていた。違いが分らない奴は馬鹿呼ばわりされるほどだ。友人にするなら第一に”いじわるめがね”と公言する子がちらほらいるのは、そういう理由による。

海美はつぶっていた目を開ける。思いつめたまなざし。
 何かして欲しいなら簡単だ。お願いすればいいのだ。
でもそんなことはしたくない。”いじわるめがね”にお願いして友達やっている子なんかいくらでもいる。
海美はそんな中の一人になりたくなかった。

どうしても絶対に、なりたくなかった。
”いじわるめがね”は誰かを特別扱いすることもない。その一事だけで、もう嫌だった。
 お願いすれば、休み時間に彼の周囲にやってきて話しているうちの一人になって、それで終わり。たぶんその先は絶対にない。海美が、他の子よりも一つ違うところである幼馴染という肩書きも外れてしまう。

それぐらいだったら殴る。”いじわるめがね”の敵になる。
それなら私は特別だ。それが願っているものと全然違うのは知っていたが、今の海美には選択の余地がなかった。

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