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zoom RSS NOTボーナス ガンパレードオーケストラ白の章(7)

<<   作成日時 : 2005/12/26 01:35   >>

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 小島航の楽しみはPV、すなわち購買で菓子とジュースを買うことである。
一般生徒では中々手に入らないこうしたものも、軍に籍を置くことで手に入る。
突き詰めれば命の危険と菓子を買う権利の交換、はなはだ安いな僕の命はと岩崎の言葉が脳裏に浮かぶが、航は今のところその権利を喜んで使い続けるつもりだった。

 兄と違い、果物を含む甘いものが大嫌いの彼だったが、毎日菓子を買っている。
美少年が菓子とジュースを買って嬉しそうに走るところは中々に微笑ましく、それで購買のお姉さん達の日々の話題になっていた。

 そんなことも気にせず、航は飛ぶように走る。
彼はこの2週間幸せだった。生まれて初めて、かわいい隊長が出来たから。

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 そもそものはじめは彼の兄が、新隊長を家で預かると衝撃的予定を言い出したことによる。
ちょうど学兵に籍が移って航は寮の一人暮らしが慣れてきたところで、たまたま読む本をとりに帰った、そんな時だった。

 数日後、荷物を持つというよりも、荷物をもたされたという感じで家にやって来た新隊長は世間の風と12月の風に弱そうに見えて、彼は一目見た瞬間から、どんな時も彼女の味方をすることに、決めた。
 彼は次男坊の末っ子で同じ末っ子でも上に4人姉が居る谷口竜馬とは、ずいぶん環境が違った。彼はさびしかった。愛情深い性格の割に、注ぐ相手がいなかったからである。
彼はずっと自分の面倒を見ていた優しい兄が好きだったし、ついでに言えば、兄よりもっと、誰かに優しくしてやりたいと、そう考えているところがあった。

 その日、彼ははじめて、本当に欲しい物を手に入れた。
そこから先お金がかかったり休みが飛んだり苦労したり喧嘩したりとあったけど、彼はそんなものはどれだけでも消費するつもりでいた。

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場面は変わる。
放送室を改造して作った小隊長室。
座って面白くなさそうに事務仕事をする石田咲良は、もう眠そうである。
大部分は谷口竜馬が夜なべして整えており、名前を書いて判子をおすのが大半であった。

 眠い。

時折名前欄からはみだしてしまう。
まあ、いいや。次。

 眠い。

判子を押し間違える。谷口に見つからないように、他の書類の中に挟んだ。
ドアを開ける音に小さく声をあげる。

「どう、したの?」
 航、だった。

頭をチョップされないように抑えていた咲良はおそるおそる片目をあけて、次に航だ、と言った。

「そうだよ。はい。差し入れ。ちゃんと書類仕事しているんだ。偉いね」
ちょっと考えた後、こくこくうなずく咲良。
差し出された餡パンと牛乳に目を輝かせる。すぐ包み紙を破って両手で一個のパンを持ち、大きく食べる。幸せ。

「隊長、出来ましたか。おお、航か」
 咲良、微妙に隠れる。首を傾けて観察する谷口。反対側に逃げる咲良。

谷口は苦い顔をしている。航と、手招きして呼んだ。
二人で背を向け、小声で話す。
「あんまり甘いものだけを食べさせるな。隊長の夕食が進まんだろうが、ただでさえニンジンを食べない人だというのに」
「好きなものを食べたほうが体にいいに決まっている」

 二人の間から無理やり咲良が顔を出した。この娘、狭いところに顔を突っ込むのが大好きである。
「なに?」

「ああ、実は」
 真顔で話し始める谷口を肘でおし、咲良に優しく笑う航。咲良の胸のリボンについたパン屑を払ってやった。
「ううん、なんでもないよ。おいしいかい」
「うん。記憶にあるのよりも、おいしい。谷口がもってくるのより、航のほうがいい」

 幸せそうに笑う航と、顔をしかめる谷口。谷口、航を見た後、咲良に口を開いた。
「いやいやいや、栄養的に考えてみてください。バランス、たんぱく、ビタミンミネラル。だいたい自分は配給食を持ってきているんであって」

 咲良、仕舞いまで聞かずに航の後ろに隠れる。拳を握り締める谷口。そっぽを向く咲良。
谷口、震えながら口を開いた。
「どういう態度ですか、それは」
すかさず口を出す航。
「恐い顔をするからだ。竜馬」
「それはもとからだ……」

咲良。牛乳を飲んでいる。

 黙って背を向けて隊長室から出て行く谷口。途中で通りかかった竹内が、うわぁと叫んで道をあけた。

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