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zoom RSS ボーナストラック ヤガミすぺしゃる

<<   作成日時 : 2005/12/25 00:26   >>

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 5万の舞踏子のうちの、これは一つの物語である。

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 未来というのはすばらしい。
ヤガミがおっきくなったので、あわせて自分の気に入りな容姿に変更した舞踏子は、そう思いながら鏡を前にガッツポーズした。

 手を伸ばして、目を細める。違和感なし。バボおじさんの店で購入した色々な道具と材料を紙袋にいれて部屋を出る。走る。

 すれ違うアキがウインクしていく。

はじめてなのに久しぶりな夜明けの船が、とても居心地が良かった。

 戦闘員用義体と違って柔らかい弱いすぐ風邪をひく新しい義体だが、いいこともある。体重が軽いのだ。もうヤガミの上に乗ってもヤガミが動作不能したりすることはない。

 エステルと廊下を歩くヤガミの後ろ姿発見。舞踏子は駆け寄る。最後の5mはジャンプした。

「ヤガミ!」
 ヤガミは戦闘員用義体特有のシャープな動きでターン。
「舞踏子か」
そう言う前に抱きとめていた。

 舞踏子の考えから抜け落ちていたせいで盛大な音をたてて飛んでいった紙袋をエステルが拾いにいっている。 まあ、今日はいいですと思うエステル。

 抱きとめてヤガミの眼鏡に分析表示が表示される。酸素呼吸?体重43kg?
「変な音がしたぞ」
「イタタ……骨、折れたみたい」
「馬鹿」
 抱きとめるから甘く抱きしめる、抱きしめるから抱き上げるに鮮やかに変化させて、ヤガミはお姫様だっこで歩き始める。正確無比な歩き方。
 宇宙総軍の女性軍服のスカートは短すぎるよと思いながら裾を一生懸命のばす舞踏子。

「足をばたばたさせるな」
舞踏子を抱き上げているせいで、眼鏡を指で押せないのを気にするヤガミ。
舞踏子、手を伸ばしてヤガミの眼鏡を押してやった。眉を少し動かすヤガミ。

「だって、恥ずかしいし」
「個人的にはストッキングが短いほうが恥ずかしいと思うが」
「え?」

 歩いていくヤガミ。義体によっては頬が赤くなっているなと考える舞踏子。
目を細める。
「どこが恥ずかしいーんですかー」
「棒読みするな」
 ヤガミ、舞踏子から頬をつつかれる。
「じゃあそっちは照れるな」
「単純な事実を述べたまでだ」
「なにが」
「だから太股が圧迫されて少しくびれていたりだな、ちょっと見えるガーターベルトがだ」
「えー?そうかなー」
「今ここで確認するな。頼むから」
「やっぱり、照れている?」

 ヤガミ、歩く速度をあげる。舞踏子が痛くない最大速度。

「昔からお前の気に入らないところが二つある。一つはその無謀癖だ。一つは何でも一々俺の口から言わせようとするその態度だ」
 舞踏子、ヤガミをじっと見る。
「ようするに照れているんだね」
「その強引に答えを当てる言い方も嫌いだ」
 表情を隠す眼鏡をとりあげられるヤガミ。
これだけはどうしようもない優しい目元を一生懸命そらす、ヤガミ。

「どこにいくの」
 舞踏子の質問に口を開く。
「医務室だ。馬鹿」
「大丈夫だよ。骨くらいなら」
「そういう無謀なところが駄目なんだ。馬鹿。だいたいなんだ、その身体は」
「知恵者が、そなたのための新型だって。きっと、ヤガミ喜ぶって……」
「それは罠だ。馬鹿」
「あいかわらず馬鹿しかいわないんだね……」
 力の加減に苦労しながら、舞踏子を抱きなおすヤガミ。

「すまん」
 真っ赤になった顔を、あわてて自分の手で挟むようにして、うわ、今日は怒らないと思う舞踏子。マズイ。この展開は考えていなかったと激しく動揺する。いつもならここで大喧嘩で3日口をきかないはずである。よ、弱い義体最高っ。
 喜びをかみしめた後、口を開く舞踏子。
「もっと優しく言って」
「どんな言い方だ」
「鼻にかけるくらいの声で」
「お前は笑うから嫌だ」
「今日は笑わないから」

 真剣というよりもどこか必死な声に負けて、結局いつも負けているのがヤガミだが、ヤガミは口を開いた。

「MAKI。ここから先20秒の音声記録を破棄しろ」
”了解しました”

 ヤガミは舞踏子の耳に口を近づけた。

<ボーナストラック 了>

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