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zoom RSS 5日目・深夜 精霊軌導弾ルート2 Fコース 

<<   作成日時 : 2005/12/08 00:45   >>

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「ネルさま! シーナさま!」

 こんな異界の森の中を、姫様たちはもぅ。
と、泣きたくなりながらショウテイルは歩いている。

気持ちの悪い、森だった。大きな獣がいて、隠れていそうな、そんな感じ。
おまけに袖に枝が引っかかって服が破け、ショウテイルはいそいそと胸元に残り布を引き寄せながら、ここは悪意に満ちていると精霊回路を宙に書いた。

「どこに行ったんですかぁ! 最後は私、泣いちゃいますからねえー!」

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 善行は、緑茶を飲みながら渋い顔をしている。

「渋い、ですか?」
 心配そうに聞いてきたのは、湯気の出るポットを持った、鴨居カンナという善行の従卒である。男の子のような半ズボンに吊りバンドという格好だったが、女の子である。もっとも二次性徴前なので、一応女の子と言うべきであろう。
 この人物、前の任地で善行に憧れてこっち、押しかけ女房という感じで個人従卒におさまっている。もちろん正式な身分でそういうものがあるわけでもない。自分が親御さんから誘拐犯見たいに扱われていたら嫌ですねとは、このごろの善行の深い悩みである。

もっとも口にしたのは、全然別のことだった。

「いえ。お茶はおいしく」
「よかった。私、練習してきたんです」

 善行はそうですか。ご苦労様と微笑みながら、しかし状況は渋いですねと、考えた。
ここ最近蒙ったことのない、大敗である。

 組織だって後退できればよかったのだが、それさえも出来ず、部隊は散り散り、もっと悪いことに、この体たらくの善行でさえ、どうやらまだマシなほうであるという感じであった。他の部隊はどうなったか、考えたくもない現状である。指揮したことがない兵科で指揮をとらされそうなのは、この際無視してもいいくらいの不幸さであった。

 心配そうに自分を見上げる視線に気づき、笑う善行。のぞみさんと違って、笑うと笑い返さずに真意を探ろうというのがこの子のいい所でもあり、問題点でもあると考える。
こんなに小さいのに、もうそれぞれ個性があるんですねえと、善行は野戦指揮官として、かなりネジの飛んだことを考えた。

 カンナは頭をなでられるのが嫌いなので、善行はカンナの頬をつついて口を開いた。
「貴方に一つ、足りないものがあります」
「はい、すぐ直します!」

 善行は一呼吸おいた。カンナは息を呑む。
「貴方に足りないものは、豪胆さです。私の顔色なんて、伺わないでいい」
「でも上級万翼長が……」
「気にしていると髪の毛が薄くなりますよ」

後ろの茂みが大揺れして、善行はカンナにやさしい表情を浮かべたまま、私銃であるベレッタを抜いて流れるように振り向き、、それでいて無造作に狙いをつけて撃とうとした。
 カンナが腕に抱きついてこなければ、実際撃っていたろう。

「待って!」
「構える前に言ってください」
善行は顔をしかめると、今度こそこの子を実家に返そうと思った。
三日に一度はそう思うのだが、今度の今度こそ本当にそう思っていた。

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