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zoom RSS ボーナストラック <海法戦記3>

<<   作成日時 : 2005/12/21 12:19   >>

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 海法はオフ会に行って、女性ファンからこんなのは海法じゃないと言われて凹んだことがある。
 原稿捨ててペンギンおよび是空と旅に行ったのは、それからしばらくしてからだった。
現実逃避とも言う。
現実の女は駄目だと、時代は二次元に動いているんですと力説したら、是空が急に優しくなった。


 海法がその女にあったのは、それから半年もしていない。
自分は遠来の客で、女は魔女の館で働く小間使いだった。
とても無学で、海法を海法と知らないそんな女だった。作家が作家扱いされない悲しみをはじめて知った。 表情を読まれて慰められ、傷ついた。どんな野生動物だと、一人トイレで罵った。

 可憐だが口のききかたがなっていない。ズケズケとプライベートに上がりこんでくる、そんな女だった。可憐以外は全部嫌いだ。海法は朝食の相手であるペンギンに言った。

 具体的に言うと部屋に入ってきてカーテンをあけて窓をあけて起きろというのだった。
おかげで海法は、寝る時に全裸でいられなくなった。最後にやったのがいつか覚えもない部屋掃除するはめになった。危険な品物、まあ、自分の品位について危険なものだ……そういうものも、こっそり処分せざるをえなくなった。

 毎日彼女が来る30分前に起きてカーテンをあけて窓をあけ、バルコニーに椅子を持ち出して服装を整え、そこで仕事することにした。 薔薇園から貰った薔薇を一本、必ずタイプライターの傍のコップに挿した。

 他人に文字をはじめて教えた。

それが喜びであることを知った。現実にはなんの役にも立たない物語を書いて語るそのことが、己の天職だと思った。

これからは現実の女ですよと言って是空に射殺されかけた。

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呆然と立っている海法。周囲の景色が現実感を取り戻す。
後ろに、ふみこが立っていた。彼女がかけた幻術だった。

ふみこが髪をかきあげながら口を開いた。
「自殺するなら、もう少しうまくやることね」

海法は声をあげて泣いた。

<ボーナストラック#1 終>

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