テンダイス

アクセスカウンタ

zoom RSS ボーナストラック <海法戦記2>

<<   作成日時 : 2005/12/21 00:20   >>

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

 海法の心には、消えぬ傷がある。それは事あるごとに彼を蝕み、それでなくても遅い彼の原稿を、さらに遅くするのだった。

 暁ゆかりについて面白いと言われたその瞬間、海法は完全にぶち切れた。
拳銃弾とはまったく次元の違う破壊力を持つライフル弾を撃つように改造された巨大な馬槍拳銃のクイックショットで問答無用にミュンヒハウゼンの頭を吹き飛ばし、即座に弾倉を捨てて月雫銀の弾倉に切り替えた。

連射。
足を、腕を、下腹を吹き飛ばし、派手に吹き飛んだ内臓を蹴って道行く主婦をにらんだ。

銃を向ける。

おくれてあがる悲鳴。 射撃。静かになる。

視線を動かす海法はミュンヒハウゼンが笑いながら跳躍し、再生していく姿を見る。
 射撃、足を吹き飛ばされて屋根から転がり落ちるミュンヒハウゼン。げらげら笑うミュンヒハウゼン。這って逃げる。連射、連射。路上駐車された車が爆発し、郵便ポストに穴が開く。

 炎の中で海法は、はじめて口元を少し緩めた。
まったくここのきな臭い風だけが、海法をリラックスさせる。この風を頬に感じる時だけは、遠い日に二人並んだ日常がフィクションだと、そう信じることが出来た。

炎が動く。
何の躊躇もなく炎を撃つ海法。

看板だった。視線を上に向ける海法、ミュンヒハウゼンが背後に着地し、己の腹から飛び出た腸をロープ替わりに海法の首を締め上げる。

「お嬢様も、周囲の奴も、誰もがお前を同情し、何も言わない」
 ミュンヒハウゼンのささやきに、黙っている海法。
ミュンヒハウゼンは言葉を続ける。
「だがな。俺だけはお前に言おう。誰のためでもない、我が巫女、暁ゆかりのために」
「黙れ」
「お前が殺したんだ。よけ作家。お前が彼女を殺した。お前は瀧川なんぞを助けずにゆかりを助けるべきだった。お前は一人の女より、美しい物語とやらを優先した」
「黙れ、違う」
「言い訳下手は師匠に、ペンギンにそっくりだな。ええ?」
上機嫌に笑うミュンヒハウゼン。
黙って戒めを引き剥がそうとする海法。

 海法の師を、ハードボイルド・ペンギンという。
射撃の仕方も、RB戦も、卵の暖め方も、海法はハードボイルドペンギンに学んでいる。
 そのペンギンと、髪と羽根をむしりあうほどの大喧嘩をしたのは2回だけ、どちらも海法が先に手をだし、一人の女性がらみであった。

ミュンヒハウゼンは力を入れる。海法の首がしめあげられる。
「だがペンギンほど強くはない。お前、甘いよ」

 海法は黙って拳銃を己の肩に当てた。引き鉄を引く。衝撃。
海法の左腕は吹っ飛んだが戒めから逃れた。血を噴出しながらターンして射撃を再開する海法。
 遠くに警察車両が近づいてくる音がする。警察車両を撃って炎上させる海法。

笑うミュンヒハウゼン。
「いや、言い方が悪かったか。甘いんじゃない。周りが見えてない」
「お前さえ殺せば十分だ。さしあたっては」

転がっている自分の左腕を踏み潰して海法は言い、銃を向けた。
「死ね」

銃声。

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
驚いた
かわいい
ボーナストラック <海法戦記2> テンダイス/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる