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zoom RSS 5日目・夜 式神の城ルート3 Cコース

<<   作成日時 : 2005/12/08 00:05   >>

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 暗い、闇の中に居た。

 レイカは長い手足を曲げ、丸くなってくるくる回っている。

何もかもどうでもよく、レイカは、ただ眠っていた。猫になった気分。ごろんちょ。ごろにゃん。

太ももに巻いたホルスターの中のブラスターの時計機能だけが、13年と181日の時間を告げている。


 どこか遠くで、懐かしい音がした。


 甘き声で自分の名前を呼ばれる気がする。
それは銀の円盤が投入され、函に入る音。
それは古の昔から連綿と続く甘き声。歌、踊り、不思議な祭に並んで最も原始的な、人が”妖精”を呼ぶやり方だった。

 その声があるその限り、”妖精”は老いることも死ぬこともなく、現れるのだ。
どこからともなく、さも当然のように。にれの木の木陰から、アップライトの筐体の陰から。それは来るのだ。それがルールだという風に。

 例えどれだけ時がたち、ヘッドが破壊され、モニターに焼付けが起ころうと。
時の女神のどんな暴虐も、人の心の砦だけは、打ち崩すことができない。

人の心に今も鮮やかに妖精があり、銀の円盤があって、それに本当に愛というものがあるのなら。

それは甘き声となって久遠の彼方、妖精の元まで届くのだ。レイカ、レイカちゃんと。

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 人の悲鳴の声がする。

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 警察猫より階級が低いF級時間捜査官レイカには、たった一つだけ、Sクラスの超能力があった。

 それは、人の悲しみの声を絶対に聞きもらさないという能力である。

その能力の唯一つをもって、世界を支配するコンピューターは、レイカを首にすることは絶対にしない。どれだけ遅刻して服がやぶれて、ガラスが破れビルが倒壊して恐竜が暴れて火山が噴火しても、コンピューターの判定は揺らぎを見せることもない。

何万回査問しても結果は同じ。全会一致。レイカに処罰を、ただし免職以外で。


 そして今度も、超能力は正しく発動した。レイカの瞳の中に、どんな人造宝石よりも美しい永遠の炎が浮かび上がった。

 レイカはどんな悪漢も正攻法でぶっ飛ばす右手のパンチでひび割れたモニターを叩き破り、今堂々と姿を現した。つかつかと博物館の中、いくつものゲーム機の林の中を歩きすぎ、煙る闇を映す窓を見た。

 パンチ。パンチ。ちょっとムッとしてキック。ガラスにひび。
三歩下がってサービスカットキックこと、踵落しでガラスを叩き割った。

何の躊躇もなく迷うこともなく臆面もなく足を踏み出し。中空へ。

立ち並ぶ超高層ビル群れの中を落ちていく。

 一度見れば二度と忘れることのない、綺麗な緑髪が暗い闇に広がった。

400m下の空を飛ぶ車を踏み台にしてジャンプ、背後で起こる交通事故。二次衝突、大爆発。

炎に照らされて、レイカは両腕を交差させて高級空中レストランを文字通りぶっちぎり、
高級ウインナーを真ん中からかじって現場に着地した。


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いつまでも止むことのない黒い雨の中、その犯罪者は、最後の仕事を終わらせようとしていた。

 簡単な殺しだった。

老いた顔に悲しみの深いしわを浮かべ、その犯罪者は、悲鳴を上げる眼鏡のオタクに銃を向けた。後は引き鉄をひけば、終わり。

 犯罪者はこれまでの仕事を惜しむように口を開いた。
「悪いなぁ、ここらへんは、もうすっかり治安が悪くなってな。昔はこうじゃなかった。大昔は……」

背後の空中看板が、ばらばらに破壊された。

ついでに高そうなウインナーがくるくる回りながら犯罪者の頭上を飛んでいった。

 湧き上がる水蒸気のその中から、一度見れば二度と忘れることのない、綺麗な緑髪が現れる。

 犯罪者の声が震える。
「お前は……お前は……」

犯罪者の目に涙が浮かんだ。それは大昔に見た風景。

「タイームガール!」
 犯罪者は叫んだ。最後の最後に、神様は粋な計らいをしてくれたと思った。

「そうよ」

 レイカちゃんはブラスターを構えて言った。さも当然と、言うように。

「どんな命にだって誇りはあるのよ。銃を捨てなさい、スキッパージョー」


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