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zoom RSS 4日目・夕 世界の謎ルート Bコース

<<   作成日時 : 2005/12/07 16:06   >>

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○水の巫女打ち上げ作戦 寄稿:海法 糸己光

女の子、スクーターで宇宙に行く。
 近年の大型化するロケットに対して、高効率ロケット、つまり比推力が非常に高いロケットがあれば手軽に宇宙に行けるぞっと、いう発想の転換とも言うべき話が遡上に昇ったのはいつだったか。
たしかSFマガジンだったような気がするのだが、実のところ、あまり自信はない。

 まあ、女の子という言葉に目を奪われがちなんでなんだが、女の子を女の子として見ずに40kgくらいのペイロードと思えば、意外にロケット軽くできるぞ(ロケットガール)ということで、まあ当時の読者のいくばくかに、一石を投じた気がしなくもない。
 考えをおしすすめれば、じゃあ極限までペイロードを減らせばロケットも素人が、例えば小学生ががんばってどうにかできる規模のものになるんじゃなかろうか(夏のロケット)という話にもなる。

 まあ、ここまでは前段。

次。昔の話で恐縮だが私が留学のため長期渡米した際、勉強先でいささか面白いSFのネタがでたことがある。
 超能力を推進力とするロケットである。

 もちろん、単に超能力ではなんでもありになるんでお話的には、面白くない。(いやそれはそれで面白いかも知れないが、まあ、ロケットを中心にしたSFにはなんないよねという話である)
私が愛してやまないアメリカ人たちも、そこは分かっていると見えて、あれこれ超能力に制限をつけていた。現実的に見て?無制限の超能力と言うのはおかしかろうという話だ。

 設定的にはこうだ、アメリカの月面着陸でロシアは宇宙開発競争に負けるという危機感を覚え、まったく新しい”機関”を内蔵した宇宙機で火星を目指したという、設定だ。
その機関が超能力で、その超能力に立脚したロケットを描いたら、面白くないかと。

 どこか現実的な制限をつけた超能力なら、前段で出た、ペイロードを軽くする、つまり女の子にしたらどうだろう、いや美少女がいい。私はJPLの人々の話を聞き流しながらロシア人の超能力美少女が火星を目指す話を思いつき、いつかSFにしようと心に決めた。

 それから、20年。

私は今、カルフォルニア州、チノの近くにいる。

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 カルフォルニア州にはあっちこっちに飛行場がある。
旧式軍用機の保管所や旅客機の墓場も、ここにある。 広大な保管所に、延々と機体が並ぶ光景は、小説家であれば誰が見たって心が躍るだろう。

 私はここに、20年の思い出を打ち上げるためにここに来たのだ。


旅の途中で出会ったエルフ達に貰ったミスリル銀の万年筆と、最近欠かせなくなってきた帽子、古いノートだけが道連れだ。

 まだ動いているのが感動的なダコタから飛び降りて、私は駆け寄った。天に上がる噴水を見に。
 日本人の目から見るとうそ臭いくらい青い空に、虹がかかっている。

私が最初に言ったことは、挨拶じゃなかった。至極散文的だった。
「能力測定はどうですか?」
「どっちかというとトレーニングだね。900kgを安定して出せるようになった」
「比推力は?」
「400sec」

 最新のロケットというほどでもないけれど、燃料効率だけで言えば国産最初のロケットの第一段ロケットよりはかなりいい数字だ。まったく、超能力と言うのはすばらしい。いや、魔法だっけな。

 私は霧のように降ってくる水をかきわけて、中心にいる少女に笑いかけた。
「きっと君を火星につれていくよ」

セーラと言う少女は、恥ずかしそうに笑って、この日最初の失敗をした。

/*/

 日本からは続々と設計図が送られてくる。
富士重工を辞められた後で航空機評論家になった竹内氏、野尻ボードの野尻氏、オブザーバーとしての乃田氏などが協力を行い、ああ、それよりもなによりも、野尻ボードの皆さんに、本当に多くの協力を得た。
話をききつけ、全米のSF作家達の多くも、駆けつけてきた。この日はアンダースンとも久しぶりに会えた。ハインライン先生がいたらと、そう言い合った。

この日夜のミーティングは、ひどく盛り上がった。だれもかれもが笑いをこらえていた。

「静止推力900kgはMe262のJumo004とほぼ同じだ」
というギャグで場を爆発させた後、場の首座を勤めるジョン・ライリー氏はこの日、重要な決断を皆に伝えた。

「垂直打ち上げはやめる」

が、その内容である。

 今回、推力割る輸送ペイロード=推力重量比だと、1をかなり大きく割ってしまう。つまり、推力だけでの垂直打ち上げは無理だ。
 次にRATOなどの補助ロケットを複数装備してこれで1を超えるものを設計組は考えたが、今度はそれらによって、システム全体がかなり大きなものになってしまう。仮にそれがどうにかなっても、あるいは複数の補助ロケットの品質にばらつきがあったときや必然的に高まるエラーレートも問題になる。
 この種の小ロケットを束ねる手法で高い実績のあるロシアなら、あるいは上手く解決する方法があるかも知れない。しかし今回は、そんな時間もコネない。


 翼をつければいい。

航空屋の多くがこの問題に対して一様に同じ回答を行った。
私の心の中の美少女に羽根が生まれた。かくも美しい、翼が。
「ついでにロケットになるのは最終段階だ。それまでは空気中の水を取り込みながら俺たちのヒロインには飛んでもらう」

 つまりはジェットではじまり、ロケットにいたるというわけであった。

「待ってください。彼女は止まっている水やある程度の速さまでの水なら操れますが、それ以上の速度の水は操れません。低速飛行ならともかく」

そう言う私に対して、いつだか私にJPLで良くしてくれた彼が笑って言った。

「水を機体内に取り込んだ後、減速させればいい」

 竹内氏が言った。
「音速を超えない領域なら空中給油じゃない、空中水補給が出来る」

ここで議論は紛糾した。嬉しそうに、そして真剣に、セーラのことを考えて、戦った。満座の誰も彼が、きっと君を火星につれていくよ という台詞を、自分こそが言いたかったのだった。


 私はメモを取るノートを閉じて、とりあえずは、自分が一番だと言うことにした。

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